4-1.オーガニック・コットン

オーガニック・コットン
[1962年、アメリカの自然科学者のレイチェル・カーソンが、DDTなどの毒性と残留性の強い農薬による危険性を訴えた『沈黙の春』を出版しました、そのことが後のアースディや1972年の国連人間環境会議のきっかけとなり、人類史上において、環境問題そのものに人々の目を向けさせ、環境保護運動の始まりとなりました。  (wikipedia・レイチェル・カーソンより)
1972年11月5日にフランスヴェルサイユでの会議でオーガニック農業を推進する国際有機農業運動連盟(IFOAM、アイフォーム、International Federation of Organic Agriculture Movements)が設立されました。この組織は民間組織で世界最大の国際NGOで、現在はドイツボンに本部があります。IFOAM(国際有機農業運動連盟)は、1980年「オーガニック基礎基準」を策定し、これが 、現在世界のオーガニック基準の原点となっています。

●独立行政法人 中小企業基盤整備機構の取り組み

中小企業基盤整備機構では、「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定」に向け「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定に係る調査」を実施しています。そのなかで背景として下記の通り記述しています。

『地球環境の負荷軽減などの環境配慮が世界的に重要視されている状況において、オーガニック市場が拡大している。特に、オーガニックコットン市場の拡大が著しく、日本においても、主要アパレルメーカーでの素材の需要や小売店や量販店でのオーガニックコットン製品の扱いが増加しているところである。
しかし、オーガニックの定義が曖昧であることに加え、日本における製品表示に関する適正なルールがないことから、消費者保護の観点と信頼性の確保のために、平成20年度において「オーガニックコットン含有率に関する適正な表示ルールのあり方に関する調査」を実施したところである。この調査において、市場が求める正しいオーガニックの在り方を推進するために専門家による委員会を設置し、現状の問題点を踏まえ、オーガニックコットンの適正な流通を図り、消費者の適正な選択に資するオーガニックコットンの表示に関するガイドラインを作成すべく議論を進め、ガイドライン骨子案を作成し、提言として提示されたところである。』

「オーガニックコットン含有率に関する適正な表示ルールのあり方に関する調査」では、オーガニック・コットン産業の現状分析について下記の通り記述しています。

『オーガニック・コットン産業の統計情報については、唯一、米国のオーガニック・コットンの認証基準を策定しているオーガニック・エクスチェンジ(Organic Exchange)によって「Organic Exchange Marketplace Report」として、取りまとめられており、我が国では日本オーガニック流通機構ならびに日本オーガニックコットン協会などにより、本情報が提供されている。』

また、「オーガニック・コットン表示ガイドライン策定に係る調査」ではオーガニックコットンについて下記の通り記述しています。

『オーガニックコットンとは、農薬化学肥料を概ね3年間使用していない土壌で、農薬や化学肥料を使用しないで栽培された、遺伝子組み換えではないコットンであり、それを認証された原料のことである。
一般的に、コットン素材の原料となる綿花を栽培するには、他の農産物を栽培するよりも農家の手間がかかる。そのため、安定かつ効率的にコットン(原綿)が収穫できるよう、コットン栽培農家は、農薬や化学肥料を使用している。農薬としては、綿花や実に付着する虫を駆除するための殺虫剤や、効率的に収穫するために枝葉を人工的に枯れさせる枯葉剤などが使用されている。また、化学肥料としては、成長促進/抑制剤土壌改良剤などが使用されている。これら農薬や化学肥料を使用することにより、生産農民に健康被害がもたらされるとともに、地球環境に対し、大きな負荷をかけている状況にある。
しかしながら、このように農薬や化学肥料が使用されたコットン(以下、通常コットンと言う)も栽培段階における生体浄化等による化学物質の分解や、収穫後の洗浄のため、化学物質の残量比較によるオーガニックコットンと通常コットンの違いを示すことは、現段階では、困難な状況となっている。従って、製品化のスタートラインにおいては、オーガニックコットンと通常コットンとの間には科学的分析による違いを示すことができないのである。
このように、通常コットンとオーガニックコットンとの違いは、あくまで綿花を栽培するという農業段階に限定されており、“オーガニックコットンの方が地球環境負荷軽減に資する”、“オーガニックコットンの方が生産農民の健康被害を抑制する”といった明確な違いが見られ、それを証明するために、認証機関が原料段階で「オーガニックコットンであるのか」について、各種国際的な基準に基づき認証を行っている。具体的には、オーガニックコットンであることの認証は、農薬や化学肥料を概ね3年間使用していない土壌での栽培か、その土壌において農薬や化学肥料を使用せず栽培したか、遺伝子組み換えのコットンではないかなどを確認することによって行われている。
一方で、実際に日本で販売されているオーガニックコットン商品には、“オーガニックコットンであるため肌に優しい”等、現時点でこれらを裏付ける科学的根拠のないキャッチコピーで売られているケースが散見される。』

上記によると、現状では「オーガニック・コットン」とは綿花栽培の過程において、「地球環境負荷軽減」「生産農民の健康被害を抑制」を目指すもので、「コットン商品」に対する位置づけは確立していないとしています。

●「日本オーガニックコットン流通機構」では、オーガニックコットンについて下記の通り記述しています。

『オーガニックコットンは一般の綿畑で使っている化学肥料や、殺虫剤や除草剤などの農薬を使わず、有機肥料を用い、天敵益虫を活用して害虫駆除を行うなど、手間ヒマをかけた昔ながらの栽培方法で育てたコットンです。
この栽培方法は、従来行われている農薬を多量に使い土壌の活力を失わせる方法とは異なり、自然環境に負荷を与えず、農場近隣の環境保全につながり、働く人たちの健康も損ねない理想的な栽培方法です。』

また、オーガニックコットンの収穫について下記の通り記述しています。

『綿花収穫の方法は、アメリカオーストラリアなどの先進国で行われる大型機械(コットン・ピッカーによる収穫風景)によるものが主流です。機械一台で、手で摘む人80人分の働きをすると言われています。人件費の高い国では到底手で摘む方法は採算に合いません。機械で刈り取る場合は、綿の木の高さを一定にしなくては効率が悪くなり、そこで成長調整の農薬が使われます。
また、綿花が収穫できる9月頃は、葉や茎はまだ枯れる時期ではなく、青々としていて、そのまま刈り取ると、湿気の問題や、葉の葉緑素が潰れて汁が綿に付着し、品質を落とすことになります。そこで、収穫時期から遡って「枯葉剤」を撒布しておき予め葉や茎を枯らせています。
オーガニックコットンの栽培・収穫方法は、「枯葉剤」を使用せず、綿花を手で摘み、青々とした畑の中で収穫作業を行なっています。』

オーガニックコットンの布地の加工では、『糊が付いていてパリパリの状態で出来上がった生地は生機(きばた)と呼ばれています。一般的には薬剤処理して糊を落としますがNOCコットンは、健康安全性とエコロジーのため、湯洗いや酵素を使って糊抜きします。』とされ、紡績プロセスでは下記の通り記述されています。

『一般の生地はここから脱脂、漂白染色防縮防しわ柔軟、艶出し、防水、防汚、防炎,抗菌など用途に合せて、幾重にもわたって化学処理が施されてゆきます。全て水を介して作業するため処理工程で使われた水は、河川に排出されることとなり水質汚染に繋がってゆきます。また、化学処理に使われた化学物質は、生地繊維の中に残存し、健康を害する場合があります。アレルギーの体質の人は、しばしば繊維製品で発症してしまいます。
NOCコットンのプロセスでは、ソーダ灰や石鹸液を高温にして生地を洗い、繊維の成分である油脂分を取り除き、その後乾燥して化学処理をせずそのまま完成となります。
現在は、国の排水規制が行きわたり、河川の水の汚染は改善された様に見えますが、環境ホルモンのように規準値以下の極微量の成分は残留し、生息する動植物への遺伝子異変を起しているという報告もあります。化学物質の生物への影響は未知な部分が多く、注意深く監視してゆかなくてはなりません。』

日本オーガニックコットン流通機構では、「オーガニックコットン」について、綿花栽培の過程において、「地球環境負荷軽減」「生産農民の健康被害を抑制」と布地の加工、紡績プロセスにおいて「地球環境負荷軽減」をあげ、生地繊維による、健康被害については紡績プロセスにおける、「化学処理に使われた化学物質は、生地繊維の中に残存し、健康を害する場合があります。」としています。

●「日本オーガニックコットン協会」ではオーガニック・コットンについて下記の通り記述しています。

『オーガニック・コットンは、オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従って2 ~ 3 年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のことです。
オーガニック・コットンは、紡績、織布、ニット、染色加工、縫製などの製造工程を経て最終製品となりますが、この全製造工程を通じて、オーガニック原料のトレーサビリティーと 含有率がしっかりと確保され、化学薬品の使用による健康や環境的負荷を最小限に抑え、労働の安全や児童労働など社会的規範を守って製造したものを、オーガニック・コットン製品といいます。

普通の綿花栽培では、かなりの量の化学肥料と農薬が使われています。農薬は害虫駆除、雑草の管理、防カビや殺菌消毒、収穫前の落葉剤などで、国ごとに厳しい規制が設けられていますが、それでも環境や農家の人たちの健康に影響を与えます。また過剰な化学肥料が土壌に残ると地下水の汚染、土壌微生物の消滅などにより、作物を育てる土壌の力が減少します。
オーガニック・コットンを作ろうと決めた農家は、基準に定められた有機肥料などによる土壌作りを行い、禁止されている農薬の類をいっさい使わないで、転換期のオーガニック栽培を続けなければなりません。この畑と栽培の実際が第三者認証機関の認証を受けて、初めて「オーガニック・コットン」と表示して販売できる綿花が栽培できるようになるのです。

収穫されるコットンそのものには、オーガニック綿でも普通の綿でも変わりはありません。普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少ないので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することは不可能です。では、どうやってオーガニック・コットンがオーガニックかどうかを知るのでしょうか。ここで、認証機関の出番です。畑をチェックし、農地管理や栽培方法を調べ、オーガニックに沿っているかを確認します。認証を受けた後でも、毎年、専門の検査員が農場を訪問し、継続して基準どおりに管理しているのかを確かめます。ですから、オーガニック・コットンの製品は、調べれば、いつ、どこでとれた綿を使っているのかがわかるようになっています。』

「日本オーガニックコットン協会」では、オーガニック・コットンの栽培過程における認証方法(トレーサビリティ)について記述され、綿花栽培過程における「地球環境負荷軽減」と「生産農民の健康被害を抑制」、製品過程における「地球環境負荷軽減」について記述されています。また化学物質の残量比較によるオーガニックコットンと通常コットンとの違いについては変わらないと記述しています。

このことから、オーガニック・コットンとは「地球環境負荷軽減」と「生産農民の健康被害を抑制」を目指したものであるといえます。また、『需要や市場価格の変動によって生産者が不当に安い価格で買い叩かれ、あるいは恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎまた「児童労働」や貧困による乱開発という形での環境破壊を防ぐことを目的としている。最終的には生産者・労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指す。(wikipedia・公正取引より)』とした、「公正取引」についても注目すべきです。

「日本オーガニックコットン協会」では公正取引(フェアトレード)について下記の通り記述しています。

『近代の繊維産業はそのスタ-トから安い労働力の上に成り立つものでした。日本でも「女工哀史」で語り継がれる悲しい時代もありました。21世紀の現代においても、アジア、アフリカの多くの農場や工場では搾取的な労働が当たり前になっています。大量販売の安い衣料品が普及する背景には、いつも辛い労働者の姿があります。オ-ガニックコットンの認定規準の中には、農業者の権利を守る項目があります。労働を提供している国の実情に目を向け、正当な賃金を払い、働く環境を整え、子どもの就労を禁じ、働く人の権利を保障したうえで取引するよう、様々な取り組みがなされています。オーガニックプロジェクトが、一般の綿花相場の最低でも20%上乗せの支援価格で買い取ります。オーガニックコットンの認定の規準のなかには、既に農業者の権利を守る項目があり、フェアトレードの取引が基本になっています。』

「チェトナ・オーガニック FTコットン・サプライチェーン支援プロジェクト (Chetna Organic & FT Cotton Supply Chain Intervention Project)」については「インドにおけるオーガニックコットン生産の概況」のp70~p73に、「プラティーバ・シンテクスによるヴァスーダ・プロジェクト」についてはp73~p74に紹介されています。

●オーガニック・コットンの取組紹介サイト(インドの取組紹介は・「4-2. インドにおけるオーガニックコットン」、タンザニアは「4-3. タンザニアにおけるオーガニックコットン」)

サリーフォックス(Sally Fox)の取組(サリーフォックス) – 日本の取引先「大正紡績株式会社」(東北コットンプロジェクトに参画)、大正紡績の近藤健一さんとサリーフォックスとの係わり紹介サイト「大正紡績の近藤健一さんに聞いた 世界中をしあわせにする オーガニック …」、サリーフォックスの綿花栽培のネットワークと取引がある「天衣無縫

サチャグリーン・プロジェクト(SachaGreen Project)パートナー企業バーグマン リベラ社(スウエーデン)「Bergman Rivera SAC」 – ペルー茶綿に対するパノコトレーディングの取り組み「SACHAGREEN PROJECT」 – 取組紹介サイト「日本オーガニックコットン流通機構のお知らせ・レポート

WWF(世界自然保護基金)が取り組むパキスタンでの「ベター・コットン・イニシ ア チ ブ(Better Cotton Initiative, BCI)」の取組紹介サイト「生きている地球のための より良い生産 – WWFジャパン」 – ベター・コットン・イニシ ア チ ブ支援企業「イケア(IKEA)」の取り組み「綿生産に恒久的な変化を起こすためにスタートしました。

日本人柏田雄一さんが経営するウガンダ共和国カンパラ市(位置)の「フェニックス・ロジスティクス社」 – 日本の提携先「スマイリーアース」の取り組み「スマイリーアース|真面綿(まじめん)|本物のオーガニック

「きずなランニング ~アフリカと日本の絆を築こう~」で奥龍将さんが紹介されています。

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